akane's diary

ほぼ音楽とアイドルとアニメ(アニソン)の話

6月23日 PSY-CHO 55 JUN SHIMOYAMA生誕55歳記念ショウ” at 下北沢GARDEN

 わたしら世代の邦楽ファンにとって、下山淳って人は鬼才と言われる類いのミュージシャンという認識なんじゃないか。

 ルースターズという日本のロック史上に燦然と輝くバンドに加入し、ある意味崩壊寸前だったルースターズをそれまでとは違う方法論で立て直したことといい(まあ道半ばで解散しますが)、ルースターズ解散後の支離滅裂というか行き当たりばったりというかメジャーもインディーズもないごちゃまぜな活動をしたことといい、そして何よりあの風貌(笑)がそういう雰囲気を醸し出してたというか。

 いわゆるストレートなロックではない感覚、古い言い方をするなら洋楽的な佇まい、特にマイナーなポップ感は何とも言えない魅力に溢れてたように思う。

 とはいえ、そこまでの大ファンというわけでもなく(笑)、よくあるルースターズからの流れで聴いていたわけですが、昨年の大江慎也の生誕ライブにおける中期ルースターズナンバーにおける下山の存在感の大きさに改めて「やっぱあの時代のルースターズは下山だよね」という思いを強くしていたところに今回の生誕ライブ。
 何が驚いたって、花田、下山、穴井、三原とい最後のルースターズメンバーが集結するというではないですか!!!もうこれ聞いた瞬間行かないわけには行かなくなったわけですよ。

 ということで、いろんな意味ですごかった今回のライブでございます。

 

1.ROCK'N'ROLL GYPSIES⇒花田裕之/下山淳/市川勝也/池畑潤二

 まずは現在活動中のROCK'N'ROLL GYPSIESによる演奏。正直、ROCK'N'ROLL GYPSIESに関して言えばあまりにオーセンティックすぎてちょいと苦手です。この日もまあそういう感じの演奏でしたが、露払い的な意味ではよかったかもしれない。

 

2.KYON TON ROULET⇒Dr.kyOn/下山淳/岡本雅彦/湊雅史【ゲスト:keicot/白崎映美/ちわきまゆみ/延原達治/仲井戸”CHABO”麗市】

 いやあ、このセッションはなんつうか濃かった(笑)。そういや下山ってPRIVATESとかちわきまゆみのプロデュースしてたなあ、とか、下郎ってあったなあとか、No Stars Innovationかよ!とか、浅川マキ!!!(keicotによるカバー)とか、CHABOは何の関連だっけ?と思ったらLOOSERかよ!とか、まあ下山淳の節奏のない(笑)活動のごくごく一部を垣間見たすごいセッションだった。
 この中では白崎映美(上々颱風)だけよく分からない関係でしたが、MCで触れていたように同郷(隣接市)ということでいいのかな?
 このセッションでの白眉は仲井戸”CHABO”麗市ですかね。あんま期待してなかった(まあブルースだよね、という感覚だった)んですが、2曲目にやった曲はフォーマットこそブルースでしたが演奏がとにかく尖りまくっててゾクゾクした。

 

3.60/40⇒Suekichi Guy/下山淳/下山章/湊雅史Dr.kyOn【ゲスト:BAKI】

 60/40とか20年ぶりだそうで、正直、当時ライブも何回かみてるんですが、そこまでの印象がなくてこの日もそんなに期待してなかったんですが、スマイリー原島の「リハをみて度肝抜かれた」とのコメントどおり、いやもうすごかった。
 硬質な湊のドラムに下山章のゴリゴリとしたベース、そこに圧倒的な存在感でかぶる下山のギター、まさにヘヴィサイケデリックロック!という感じで、最近のdipをさらに強靱にしたような演奏はまさに鳥肌もの。全体的に混沌感を漂わせてはいますが、根っこにあるのは圧倒的なロック感で、それはSuekichi Guyのボーカルによるところが大きい気がする。この骨太な存在感って若手のバンドじゃなかなか出せない気がする。いやもう素晴らしすぎ。ゲストのBAKIもよかった。

 

4.下山淳+ホッピー神山

 さてこの辺で既に22時を優に回り、客席がかなりざわつく(笑)。まあそりゃそうだ。
 そんな中始まったこのセッション。言わずと知れたRAELの2人なわけですが、結局やったのは2曲のみ。しかし1曲目のジャンクなポップソングがめちゃくちゃ素晴らしくて、ああオレは下山のボーカルがやっぱ好きだわ、とか再認識。
 なんだろね、ああいう幽玄的なんだけどポップ。ポップなんだけどどこかいびつ、な感じってほんと好きだなあ。

 

5.THE ROOSTERZ花田裕之/下山淳/穴井仁吉三原重夫

 そしていよいよルースターズ!この時点で23時回ってた気がする(笑)。終電気にする客がどんどん帰っていき、客は2/3〜半分ほどに減ってる感じ。みんなこれ目当てだったと思うんだけどまあなんというか、、、(笑)。

 てのは置いといてまああれですよ。遅れてきたルースターズファンとしては、このラストルースターズには初期ルースターズと同等の思い入れというか感慨があるわけでして、穴井も三原も好きな身としてはこれはもう至極の再集結といっていい。正直なところ、大江が元気な今、初期ルースターズよりもはるかにレア度の高い組み合わせですからねえ。

 そして始まったライブ、GUN CONTROL!再現出来ないジグソウ・パズル!!EVERYBODY'S SIN!!!そしてラストはPASSENGER!!!!
 うおーーーー!すげえ!すごすぎる!!まさか生でこれを聴ける日がくるなんて!

 何と言っても演奏が素晴らしすぎる。現役感とでもいうのかな。初期ルースターズの再演にどうしても同窓会的要素を感じてしまう(あくまで個人的感想)のに対し、今回のライブはとにかく今の音が鳴ってる。
 この時のルースターズの特徴であるソリッドかつ強靱な演奏が健在、どころかさらに存在感とスピード感を増して鳴っている。
 特に三原のドラムがシャープでいい。やっぱこの人のドラムは好きだなあ。昔、GROOVERSのライブによくゲストで出てたんだけどあの時も素晴らしかったなあ。

 そして、ロック一辺倒ではない湿り気のある曲とも相まって、叙情溢れる昨今の邦楽オルタナ系ロックの中においても全く遜色ないというか、逆に今の時代にこそ歓迎されるんじゃないかとすら思うライブは短いながらもとんでもなく強烈だった。

 昨今のバンドの再結成/再集結。個人的にそこそこ見に行く機会があるんですが、どうしても同窓会的意味合いが強かったり、往時の演奏にはほど遠かったり、グルーヴとかいいつつスピード感を相殺させてたりすることが多いんですが、今回の再集結ライブは懐古的な意味合いのない、まさに4人のミュージシャンの演奏がぶつかり合っていた素晴らしいライブだった。

 しかし、この4曲終わった時点で23時30分過ぎ(笑)。当然のごとくアンコールはなし。ステージ上にキーボードセットされてたので、多分アンコールの予定あったんじゃないかと思うんだけど、実際どうなんだろう。

 

 まあ、そういう客の都合を考慮しないとことか、ゲストがほとんど同世代で若手一切なしとか、そういうとこ含めてなんか非常にらしい記念ライブだった気がする。