akane's diary

ほぼ音楽とアイドルとアニメ(アニソン)の話

12月14日 Wake Up, Girls!Festa.2014 Winter ~Wake Up, Girls!VS I-1club~ at 幕張

 

 さて、Wake Up Girls!です。いつしかアニソンってやつを聴き始め、その後アイドルにそこそこハマり、連日アイドルイベントに繰り出してるワタシですが、いわゆるアニメのイベントってヤツには行ったことがなく、一度は参加してみたいと思いつつも、勝手に敷居の高さ(笑)を感じて尻込みしてたわけです。

 しかし今回、友人からWake Up Girls!のイベントに行かないかというお誘いがあり、チケットもあるというので、チケット代の高さ(DVD付きで7800円なのでそこまで高いってわけでもないんですが、普段1000円とかのライブに行ってるもんで、、、)にビビりつつ行ってまいりました。

 このWake Up Girls!、アイマスラブライブといった作品と同様、アイドルを主人公とするアニメなんですが、まず映画が公開、その後テレビシリーズが展開されたのはまあいいとして、監督がまあなんというか曲者で(笑)、その言動に加えてテレビシリーズの作画や主人公たちの声を担当する新人声優たちの演技が話題(もちろんネガティブ方面)になったりと、いろいろあったわけですが、個人的には他のアイドルアニメにはないグダグダぶりというかある種のリアリティが好きで、楽しく見てたわけです。

 しかし、このWake Up Girls!、そうしたゴタゴタ(笑)なんか知ったことじゃないとばかりに、なぜかイベントは大盛況、大方の予想を裏切る(笑)人気を博し、今回のイベントの舞台はなんと幕張!いやあすごいね。

 さらに今回、Wake Up Girls!(これアイドルグループの名前でもあるのでご注意)のライバルグループであるI-1Clubがグループとしては初めて出演するということで、嫌が応にも期待が高まります。

 そして始まったライブ、なんとなくお互いのグループが交互に歌うといった歌合戦スタイルを想像してたんですが、よく考えるとI-1Clubの面々は人気声優の皆さんで、そんなに目一杯歌えるわけじゃないよね、ということなのか、ライブのメインはWake Up Girls!で、I-1Clubは2曲のみ、というアリかよ!って感じでしたが(笑)、まあファンの思い入れはWake Up Girls!の方にあるんだろうし、華を添えるという意味ではこれでいいのかも。

 それ以外にも、両者のあっち向いてホイ対決、各人のキャラソン披露などがあり、ラストはスクリーンに投影された映画にクライマックスとリンクする形で歌われるタチアガレ!から7 girls waそしてアンコールの言の葉 青葉とメイン曲を歌い上げ終了。この流れはアニメを見てた者としてはなかなかに感動的でした。

 で、ライブですが、スクリーンにはアニメのシーンが投影されつつ、その前で中の人(声優)がそのキャラクターとして曲を歌うという形式。アニメイベントとしては至極当然な話だと思うんですが初見だとなかなか不思議というか面白い。

 では、その辺のおもしろさ、というかアニメアイドルの特色を私なりにいろいろ語ってみたいと思います(笑)。長いよ(笑)。

 

アイドルと現実の狭間

 アニメとアイドルの大きな違いはリアルであるかどうか。アイドルも舞台の向こう側の偶像であるがそれでも生きてる人間。しかし、アニメのキャラクターはそうではない。もちろん、リアルに感情移入できる人もいると思うけど、それ以上の何かを得るためにはやはり2次元と3次元を繋ぐ何かが必要。

 そこで登場するのが声優、というよりCVと呼ばれる中の人。彼女らは2次元と3次元を繋ぐ依り代であり、アニメのキャラクターにリアルという衣装を着せる人。でもそれでアニメのキャラクターがリアルな3次元になるかというとそうではない。というよりも、そもそも3次元でいいならリアルなアイドルを好きになればいい(もちろん理想のアイドルが現実席にいない、などの理由からアニメに行く人もいるかもしれませんが)。

 それはともかく、アニメのキャラクターにCVという衣装をまとい、ようやく一歩現実社会にアニメが歩み寄り、言うなれば2.5次元な世界が現れる。では、残りの0.5次元を埋めるのは何かといえば、当然ファン。WUGに関していえば、この日来ていたファンは、当然リアルに生きている人ではあるんだけれども、それと同時にアニメの中に登場するワグナーでもある。

 だからこそ、映画のクライマックスがステージ上のスクリーンに投射された時、実際にそれを体験した(アニメ内の)ファンと同様にWUGの面々に感情移入し、その直後に歌われた曲に素直に感動できる。

 それはコールなどのアイドルソングにとって定番の応援方法にも現れており、ライブで披露される声援はアニメ内のそれと同様であり、ファンがアニメの中のファンと同化することで両者が同じ舞台に立ち、アニメともリアルとも違うアニメのキャラライブという特殊な空間がそこに表出する。

 これはアニメと声優を知っていないと入り込めないというなかなかに排他的な世界ではあるんだけど、それらを理解しさえすれば、そこに広がる光景は相当に感動的なものになる。

 で、そこに関係してくるのが物語ってやつである。

 

物語あるいはサクセスストーリー

 日本人は浪花節が大好きである(笑)。と唐突に書きましたが、いや別にこんなの日本人に特有の話ではなく人っていうのは物語が好きなのだ。

 そして、人気のあるアイドルはおしなべてこの物語を持っている。ハロプロ(というよりモー娘。)しかり、AKB48しかり、ももクロperfumeなどなど。その成長過程がひとつのストーリーとなり、それがさらなるファンを生む。

 そして、非常に俗物的な話にはなるんだけど、アニメってのはこの物語をある種自由に作ることができる。始まり、挫折、成功、諍いに和解などなど、リアルなアイドルが(いろいろ仕掛けは用意するものの)切実に望んでる物語を容易に準備・展開できる。もちろん、これは諸刃の剣で、あまりにお膳立てされた、あるいは陳腐な物語はファンをしらけさせ、あっという間にアニメを過去のものに葬り去ってしまう。

 でもそれが成功すると大きい。WUGもその成功組と言っていい。ぶっちゃけリアルではほぼありえないデビュー1年たらずでの幕張でのライブイベントにライブビューイング、これらは現実時間と別に進行する物語の力が大きいと思う。

 ライブにおいても、イベントを重ねることで生まれる曲の神話がすでにアニメの中で形作られているため、初見でもアニメを見ていれば、常連とほぼ同様の感動を得ることができる、、、はず。

 さて、この構図、実は音楽よりも演劇に近いと言えるかもしれない。自由な物語、キャラクターとそれを演じる役者への声援などなど、構造としての二重性という意味ではやはり演劇的である。しかし、その関係性はより先鋭的な気がする。

 

アニメと声優の二重の楽しみ(位相)

 キャラクターを楽しむとともに声優を楽しむ。上で挙げたように演劇の範疇で定義できる関係でありますが、アニメと声優の場合、より意識的にその関係性が定義されてる感がある。例えば今回のWake Up Girls!のメンバーを担当する声優は皆新人で、アニメ内における成長と中の人のリアルにおける成長が二重写し的に展開されることでファンはその過程をいろいろな方向から楽しむことができる。

 さらにライバルとなるアイドルグループI-1clubのメンバーの中の人に実績のある声優を配置することで、これまたイベントなどにおける両者の対決(今回だとあっち向いてホイ)における立ち位置などもまたアニメと声優の二重の意味合いを持つことになる。

 これについてもうひとつ面白いと思ったのが、そのあっち向いてホイ。実際、対決そのものは声優のスタンスで行われるんですが、対決前の一言コメントのみは演じるキャラクターとして発言しており、状況によって立場をクルクルと変えるのがある種の混沌を生み出してなんだか妙に面白い。今回に関してはキャラの立場と声優としての立場があまり変わらない状況だったのでアレだけど、アニメによってはこれが逆になることもあると思われ、その混沌ぶりはさらに加速することになる。

 そして、ファンも声優もそのような混沌を自ら楽しんでいるように見える。これはなんというか、単純に面白がってる面もあると思うんだけど、ファンに関していえば「オレは声優の立ち位置とかそういう知識を持ってるぜ」的な知的満足感ってやつもあるんじゃないかと邪推するんだけどどうでしょう(笑)。

 てなわけで、今回初めて参加したアニメイベント、非常に面白かった。WUGの面々がまだ少々拙いとこもその手のアイドル好きな私としてはプラス要素で、これが完璧にアイドルを演じる面々だとしたらここまで面白がれなかった可能性もあるかと思うと、私はまんまとヤマカンの思惑にハマってるのかもしれない(笑)。あとは値段がもう少し安ければなあ(笑)。