akane's diary

ほぼ音楽とアイドルとアニメ(アニソン)の話

映画 咲

今回、久々に、それこそ乙女新党以来にキモくてダメな文章になると思うのでそっちに興味のない方はスルーしてくださいませ。

 今回のテーマは映画「咲」。そう実写版である。咲は言わずと知れた人気の麻雀漫画なわけですが、個人的に知ったのはアニメ化された作品。まあそういう人は多いんじゃなかろうか。

 その咲が実写化されるという。
 まずは咲(主人公の名前です)がふとした偶然から清澄高校の麻雀部に入り長野県大会に出場するまでのストーリーを各話30分×4回のドラマとしてTV放送。その後、長野県大会決勝に勝ち進むことになる4校(もちろん咲が入部した清澄高校も含まれてます)のエピソードをかいつまんで紹介した特別編ドラマが放送され、映画は長野県大会(というか決勝戦)がメインのお話という流れ。続きは映画で!というより、前段の予備知識含めてドラマで予習しといてね!という風情で、これはこれでアリなのかもしれない。

 という説明くさい話は置いといて、今回の映画、これがなんつうか群像型青春少女映画の傑作なんですよ!
 まあ、人気漫画のアニメ化に続く実写化っつう、どう考えてもイヤな予感しかしない流れにそれはねえだろ!と思うところでしょうし、私自身も実際にドラマ観るまではそう思ってた。でもこのドラマが意外にもけっこうおもしろくて、さらにそのCM中に流れる映画の予告編がまたそそられるデキで、これは映画もソコソコおもしろいんじゃないか?と思って観にいったところ、ソコソコどころか、これまで観てきたこの手の少女映画と比較しても1,2を争う大傑作で、個人的にどうかしてる状態に陥っているわけでございます。

 ということで、今回、この映画版咲の魅力について押し売りいたします。

 

登場人物が可愛い!

 漫画やアニメの実写化ときいて一番最初に懸念するのが「2次元キャラを実写化するにあたって誰が演じるのか、それはどこまでキャラを再現できているのか」であることは万人が周知してる点。そして多くの実写作品がこの点を疎かにして(あるいはムリに寄せようとして)見るも無惨に失敗しているわけですが、「咲」はその点相当に健闘してる。
 もちろん、全然違うわ!という意見もあるだろうし、やや意図的にキャラの造形を改変してる所もある。
 でもね、この実写化における問題は見た目として違うか否かではないのですよ。一番の問題は2次元の3次元化にあたって努力したかどうか。ようは「ほんとに原作読んだのかよ!(あるいはアニメみたのかよ!」という点。「咲」はこの点において相当に頑張ってる。登場人物の特徴をきちんと捉えた上で、その外面だけではなく内面まで含めてキャラに寄せている。
 そもそもとして2次元キャラを忠実に実写にすれば違和感あって当然なわけで、この「咲」にしたところで制服その他の造形において「コスプレ感まるだし」だの「AV意匠(笑)」だのといった嘲笑も当初はあった。
 しかし、人には脳内補完という素晴らし能力があるわけで、3次元だからといって脳内補完できないわけでは決してない。きちんとキャラに寄り添う努力さえすればあとはいくらでも補完して違和感なく感じることはできるのである。
 いやマジでどうでもいい話だな。実は個人的にその辺どうでもよろしい(笑)。そんなことより登場人物(とその中の人)が可愛いんですよ。もうどうしちゃったのってくらい可愛い。
 まずは主人公の咲。東宝シンデレラ出身、TVドラマ「あの花」でめんま役を演じて話題になった浜辺美波さんが演じておりますが、いやこの人可愛いよ。めんまの時も感心したけど、その時とはまた違う可愛さ。しかもずっと可愛いんじゃなくて微妙な時もあれば凄まじく可愛い瞬間もあるのがポイント高い。映画のクライマックスにおける天江衣との会話の際の可愛さはちょっと別次元といった感じ。あと個人的なツボは仮眠室でエトペン抱いて目覚めた後状況を把握して驚いた時の「えええーーー」の発生。ありゃ反則だわ。
 あと何人か列挙してみたい。
 風越女子高校の福路美穂子(加村真美)。メチャクチャ美人というわけでもないんですが、何か変な魅力というか少女漫画的ファンタジー感に溢れてる。
 同じく風越女子高校の池田華奈(武田玲奈)。この人相当キャラに寄せていてそこがすごいポイント高い。
 鶴賀学園の東横桃子(あの)。まあこの人はゆるめるモ!(アイドルグループ)の人なんで以前からライブなんかで観てて知ってるわけですが、ここではかなりきちんと演技してて、アイドルとしての不思議ちゃん、、、というか危ういキャラから想像できないあたりえらいおもしろい。
 龍門淵高校の龍門淵透華(永尾まりや)。元AKB48というのはどうでもよくて(笑)、この人がこそ「似てる似てないを通り越してそのキャラにしか見えない」筆頭といっていいかも。とにかくやること全てが透華というかイチイチおもしろいというかキャラ立ちとしては一番かも。
 同じく龍門淵高校の国広一(柴田杏花)。この人は単純に可愛いです。まあ正義だね(笑)。
 そして龍門淵高校の天江衣(菊池麻衣)。実はこの人が一番原作キャラから遠い。もちろん意図的な改変だと思うけど、そこがこの映画が青春少女映画の傑作(あくまで個人的な意見だけどね)となったポイントの一つといっていい。そしてその天江衣の負と陽をきちんと演じた菊池麻衣の存在はかなり重要。
 まあ他にもいっぱい登場人物はいるんだけど、基本的に全員可愛いです(笑)。決勝戦の登場人物だけで20人。それ以外もあわせると相当の数に上るわけで、その彼女たちを眺めてるだけでも至福なので(笑)、そこ目当てで観るのも全然あり(笑)。

 

表情が素晴らしい!

 漫画やアニメを実写化するとなると上記でも述べたように基本的にネガティブな要素が強くなるんだけど、実はアドバンテージもあるんだな、と今回気付いた。
 その筆頭は表情。
 長野県大会決勝、大将戦のオーラス、絶望的な点差でもって優位にたっているはずの天江衣が逡巡しつつも咲との会話から一つの決心をし、それに咲が必殺技で応えるラストの攻防、もちろん、2次元の時もメチャクチャおもしろかったんだけど、今回の映画では、咲と衣の表情をよりクローズアップすることで、また違う次元の感動を与えてくれる。
 とにかくね、笑顔ですよ笑顔。衣との会話でみせる咲の笑顔、そして試合直後にみせる衣の笑顔。さらに試合が終わって龍門淵高校の仲間との会話における衣の表情。これはある意味記号化された漫画やアニメでは得られない感動といっていいんじゃなかろうか。
 あと、そういう感動要素とは違うんだけど、先鋒戦で福路美穂子が片岡優希(清澄)にあるサジェストをしたおかげで井上純(龍門淵)が優希に振り込んだ後に井上純にみせる笑顔。このなんとも言えない笑顔なんて実写でしか表現できないよね。
 あとはネットでも上がってるように涙の要素とかいろいろあって、とにかく少女達の豊かな表情をみてるだけで幸せでございます(笑)。
 もう一つ、所作もおもしろい。この映画、麻雀シーンで、例えば裏ドラめくる時なんかにばんばん隣の牌が倒れる。意図したものかどうかは分かりませんがなんだか変なリアリティはある(笑)。そしてそこら辺含めた麻雀における所作がまたなんともいえずよろしい。特に天江衣の打牌その他における指の動きはマジで素晴らしいというか惚れ惚れします。

 

分かってる!

 さて、ここはいい年のおっさんが書くにはかなりの勇気を要する項目ですが、とにかくスタッフ分かってるな!である。
 映画のオープニングタイトルシーンはドラマ版と同じで、清澄高校の5人が部室におかれたベンチに座るシーンから始まるわけですが、そもそもこのショットからして最初に映し出されるのは少女達の太ももである。そしてそれは映画本編でも同様であり、数多のシーンで太ももに重点を置いた(低めの)アングルから撮影撮影されている。しかし、そこで映るのはあくまで足である、パンチラシーンなどがあるわけではない。
 これを分かってるな!と言わずしてどうするってなもんである。他にもカラダにフィットした制服やそのその制服の前合わせの隙間からふと覗くお腹、咲が靴と靴下をぬいで足をぽんと合わせるシーンなど、どうかしてるショット満載で、イチイチ素晴らしい(笑)。
 あと、原村和がセーラー服のスカーフを巻くところ。紳士な皆さんはスカーフまいた後で胸のボタンを指で押してとめる部分に注目してるようですが、個人的にはスカーフを三角に折っておもむろに襟にまく所作にグッときた(笑)。

 

ストーリーがすばらしい!

 この物語の魅力の一つとして、麻雀を題材としたバトル物としての側面に加え、各登場人物のエピソードをふんだんに盛り込むことで、キャラクター要素を楽しむという側面がある。しかし、映画は100分ちょいの代物。前段の特別編ドラマで多少の補完をしてるとはいえ、全員の要素を盛り込むことは不可能。そのため、映画ではかなりの部分が簡略化されてるわけですが、それが逆に「咲が麻雀を通して会話する」というテーマを明確にし、さらに「そのことで天江衣が成長する」という成長譚としての感動がいや増している。
 そうなんだよね、この映画、ストーリー的な意味合いでの主役は天江衣といっていい。前段でも書いたけど、この天江衣のラストの表情の素晴らしさはほんと筆舌に尽くしがたいし、その成長を促した咲のオーラスでの怒濤の槓ヅモのシーンは(少し大げさな部分があるにせよ)マジで泣ける(つうか最初観た時は泣かなかったけど、何回かみてる内にどんどん泣けてきた(笑))。

 

相変わらず書いてるうちになんだか分からなくなってきましたが、とにかくこの映画、ほんとに群像型青春少女映画の傑作だと思うので、少女という言葉に抵抗ない紳士淑女はマジで観るといいです。