2月5日 クロスオーバーWAY Vol.12 at 新宿レッドノーズ
ここのところ、アイドルイベントにいく機会が目に見えて減っているわけですが、その理由の一つとして、あまりにもアイドルイベントが多すぎてどれに行っていいか迷ってしまう、というのがある。この日もかなり多くの魅力的なアイドルイベントがあったわけですが、それら数多あるアイドルイベントの中からこれを選択し、当日料金で入るクソサブカル厨二イズムは大事にしていきたい。
SAKA-SAMA
件のTRASH-UP!!が送るアイドルグループ。1曲目に披露した曲はまさにエクスペリメンタルな香りのするバックトラックに少女ボーカルがのる感じ。ただ、これを「さすが」ととるか「なるほどね」ととるかは微妙な所で、正直後者の感覚が強い気も。快楽的要素が求められるアイドルソングにおいてこの手のトラッシュな音楽を用いるにはよほどパフォーマンスなどで頑張らないと、バンドなどにも増してただの自己満足に終わってしまう恐れが高いような。ただ、2曲目以降はシューゲイズとかそういう香りをまとったポップソングで、すごくよかった。
吉野なお
以前一度だけ観たことあるけど、その時は至福というかステージ衣装じゃない形でパフォーマンス自体もかなりやっつけだったんですが、この日は恐らく通常営業。ゴスロリ系衣装でロック寄りの曲という定型路線ですが、承認欲求オーラが強烈で触るな危険感の強さが独特の雰囲気を醸し出してる。つうか単純に雰囲気怖いわ!嫌いじゃないけど(笑)。
日本アイドル生成工房
なんか観たことあると思ったら元地球人か。アイドルソングのカバーを行うグループで、新グループ発動までの繋ぎ的な感じなのかな?しかし、2017年の今、TAKeNOKO▲の曲がライブで聴けるとは(笑)。
リナチックステイト
リナさんも長いなあ。リナチックステイトのライブって面白いと思う時とそうでもない時があるんだけど(失礼)、この日はよかった。なんつうか、応援側のノリがパフォーマンスに影響する感じはするね。ってみんなそうなんだけど。
星名ふみみ
かなりゴリゴリなロックサウンドを主体とした人。曲はアイドルソングだけど、タイプとしては昔でいう女性ロックシンガーだよね。この手の暑苦しいくらいにグイグイくる感じは好き嫌いあると思うけど、個人的にはけっこう好き。単純にライブ楽しいしね。
MELLOW GREEN WONDER
3人組のアイドルグループ。けっこう正統的なアイドルソングを歌うグループですが、さきちゃんという子がかなりあざとい(褒め言葉)雰囲気あって可愛い(笑)。もう少し曲にフックがあるといいんだけど。
スーパー転校生
これまた3人組ですが、こちらはかなりふざけてる(笑)。前田敦子のパロとかのネタを織り交ぜながら「楽しきゃいいんだよ」とばかりに下らないパフォーマンスを繰り出す姿勢は素晴らしいとしか。こういう可愛いは正義と同様に楽しいも正義なのである。しかし、この人達どこかで観たことあるんだけど、どのイベントで観たんだろう?
あヴぁんだんど
ここまで、それぞれ個性的なアイドルさんたちばかりで、けっこう満足してたんですが、最後にそれら全部が吹き飛んじゃうパフォーマンスに出会ってしまった。
あヴぁんだんど自体は前から知っていたし見たこともあったんだけど、やや先鋭的なアイドルソングをやるグループ程度の認識で正直そこまで興味のある存在ではなかった。この日も始まるまでは「そういや今2人になったんだよなあ」という程度の感じだったんだけど、ライブが始まった途端、自分たちの持てる全てをぶつけてくるかのようなパフォーマンスに圧倒されてしまい、なんつうか久々に鳥肌立ちまくるほど感動してしまった。
全力でエモーショナルなパフォーマンスをするアイドルグループというのはたくさんいるんだけど、あヴぁんだんどが素晴らしいのは、見棄てられたアイドルというネタにもなってる出自、繰り返されるメンバーの脱退、事務所の移籍とセルフプロデュース、のような状況から容易に想像される負の感情の発露としての凄さではなく、自分を覆っていたものが望む望まざるによらず剥ぎ取られ、最後に残ったコアの部分が放つプリミティブな尊さにあると思う。それは箱に残った希望のような、仁さんの最後の笑顔のような、何ものにも代えがたい素晴らしい輝きに満ちていて、それは本質を剥き出しにしてパフォーマンスすればすげえ所に行けるってことの証左でもある。
ここのところ、アイドルイベントとかに行ってもそれなりに楽しいね、という感覚だったわけですが、今回はあヴぁんだんどに出会ってしまった。この衝撃が本物かどうか、今後確認してみたい(笑)。
1月22日 桃井美鈴生誕祭 at 渋谷LUSH
桃井美鈴の熱心なファンかと言われりゃ、正直違う(笑)。つうか、ラストクエスチョン自体、1回みたかどうかのレベル。なのに、なんで生誕祭かといえば、それはもうもちろん出演者のメンツがいいから。そんなもんだ。
つうか、ライブの内容もうあんまり覚えてないのでメモ書き程度で(笑)。
桃井美鈴
まずはその桃井美鈴。カバー曲を披露。ヲタだということはよく分かった(笑)。
リアル3区
キーボード主体なバンドの人達。楽しそうではあるけど、曲は案外普通かなあ。
空中分解feat.アンテナガール
すごい好きなユニット(兄妹ユニットです)なんですが、なかなかライブが観れない。この日は特別にメドレー形式でトラックを作ってきたらしんだけど、ノーパソ立ち上がらずCDオケでのライブ(笑)。その分お兄さんが踊りまくっててこれはこれで楽しい。
しかし、空中分解やっぱ楽しい。2人ともすごく楽しそうにパフォーマンスするので、こっちも楽しくなるっつう例のパターン(例ってなんだ)。
NEXT少女事件
しばらく観ないうちにオケが変わってて、よりヘビーな感じに。新曲もあったりして、なんだか別のアイドル感も少々。というか、実際以前のアイドル感が減って、はやりのダークヘビーな感じになってて、そこは少し残念。
Cure。
大坂のアイドル。とりあえず関西的なノリというかオラついてて押しの強いMCが非常に印象的。ライブもけっこう楽しい。
二代目エコ怪獣
アイドルというよりもさらにサブカル的でコンセプチュアルな3人組ユニット。小劇場的なノリもかもしだしつつ、よりアイドルっぽいというか秋葉原的な雰囲気もあって、楽しいんだけど、それよりも懐かしさ感があった。いやこの手の人達を以前観てたとかそういうことはないんですが(笑)。
劇場版ゴキゲン帝国
今勢いのあるアイドルグループの筆頭格。EDMをベースにしたイケイケどんどんなそのパフォーマンスはとにかく観てて楽しいし、メンバーもバラエティにとんでいて面白い。ただ、複数回観た印象だと、そこから先がないような気がしなくもない。楽しいだけのグループってなかなか抜け出せないことが多いからなあ。
ラストクエスチョン
この後行われる夜の部で新メンバーがお披露目されるということで、このライブが2人体制の最後ということになるのか?よく分かりませんが、思った以上にオラついてて勢いのあるパフォーマンス。全体的に楽しそうなのがいい。
いやあ、部分的にしか覚えてないねえ(笑)。歳も歳だしそんなもんか。
1月19日 メイプルカナダアナログ発売企画「ブルーベリー急行」 at 渋谷TSUTAYA O-nest
去年の末に、apple musicで聞いてメチャクチャぐっときたバンドがThe Wisely Brothers。セツナ叙情系ギターポップで、peggiesあたりと同傾向だと思うんだけど、もっと洋楽的というかポストパンク的な匂いもしてて、こりゃライブ観ないと!と思った次第。
ニカホヨシオ&the SunRaTans
クラブミュージック風味のシティソウル。演奏上手いしアレンジも複雑で洒落てるしメンバー含めて意識高い感かなり高い。
王舟
これは驚いた。ギター一本の弾き語りなんだけど、思い切りアメリカンフォークミュージック。しかもボブ・ディランとかオルタナカントリーとかそういうのを経由してる感じではなく、まんまフォークミュージック。カバー曲なんかもやったりして、いやなんつうか、こういうのやってる人いるんだなあ。なんか妙にしっくりしてて非常によかった。
The Wisely Brothers
女性3人組。期待していたとおりの素晴らしさ。最近は元気なポップロック系や椎名林檎大森靖子的な激情型の女性バンドが多いですが、個人的にはこの手のやや静謐なタイプが好きだなあ(サブカル小並感満載発言)。
このバンドのいいところは、切ないメロディをベースとしたポップソングなのに、歪んだギターを響かせて、時にポストパンク的にノイジーな音の洪水が訪れたりするところ。ある意味ソニックユース的な風情もあって、そこがすごくおもしろいし、素晴らしい。
ということで、しばらくの間、わたしの中ではThe Wisely Brothersは要注目バンドと化すことが決定しております。
1月15日 坂口喜咲 弾き語りワンマンライブ!〜新春!! GOLDEN KIICHAN 2016〜 at 新宿ゴールデン街劇場
坂口喜咲は日常である。もちろんそれは女性、、、ここでは女の子と書いた方がより内実に近いとは思うのだけれど、その女の子の日常をそのまま曲にして、唄い、泣き、笑う。その多くは恋愛にからんだことで、しかもそれは決して順風満帆でhappyなものではなく、ツラく切なく悲しく、しみったれている。
でも、坂口喜咲がライブにおいてその日常を唄う時、そこに現れるのはドロドロとネガティブでどうしようもない負の感情などではなく、もっとずっと開放的で「大丈夫!」と全てを解き放つ何かである。
ライブで世界を変えられる人がいる。世界といっても人類の未来的なものではなく、ライブ会場をそうではない何かに変えられる人である。パフォーマンス一発で会場の空気を変え、別個の世界を作り出し、そこにいる客を違うどこかへ連れて行ってくれる。そういうライブに立ち会えた喜びは何ものにも代えがたい。そして、坂口喜咲はそういうアーティストの一人だと思う。
というわけで、坂口喜咲のワンマンライブ、しかも昼夜2回公演です(笑)。あるのに気付いた時にはチケット売り切れてて「行けねえ!」と思ったんですが、ライブ会場での手売りチケットがまだ残っていたおかげで昼夜2回とも観ることができました。
今回のワンマンライブは基本弾き語り。セットリストも新旧取り混ぜた内容で、いろいろと懐かしい曲も聴けて、なんだか思った以上にじわりと心にしみてしまった。ということで前段の内容に繋がるんだけど、ほんとに坂口喜咲がライブで作り出す世界は格別。わたしは別に女じゃないので(笑)、歌詞の内容に「そうそう!」と具体的に共感するわけではないのだけれど、それでもなぜかその内容が心にしみてしまう。
でも、坂口喜咲のライブは楽しいのだ。一歩間違えば天然/電波系なMCのせいでは決してなく、単純に楽しい。心の底から観てよかった!と思うし、幸せになれる。今回もそんなライブで、じんわりと暖かく、でも切なく、悲しく、でもやっぱり楽しい。至福の時間を過ごさせてもらった。
ま、それは置いといて、実は一番驚いたのが「最近地下アイドルが多すぎる!」というMCから始まったアイドル批判曲。確かに微妙にアイドルと共演してたりもするけど、そこまでdisりますか(笑)。いやでもいちいち「ああそうかもね」な内容でなんだか妙に可笑しかった。
1月13日 祝!生誕70年 エンケン祭り at 渋谷クラブクアトロ
遠藤賢司である。最初に聞いたのは1988年にやった全日本フォークジャンボリーのCD。折しもバンドブーム期に行われたフォークジャンボリー。当然ながら出演者の中にはバンド関連の人もたくさんいて、もちろんそっちを目当てに買ったわけですが、そんな中インパクトを受けたのは高田渡に友川かずきに遠藤賢司といったフォーク期の方々。そこからいろいろ70年代フォークを聴き始めるわけですが、たたみかけるように友人にその手の70年代を好きな人がいて、そのつながりでライブにも行くようになって、当たり前のようにエンケンのライブに衝撃を受けて、その後はボチボチとライブに行くようになって、、、という形。ボチボチというとおり、熱心なファンではないですが、エンケン友の会にも入ってたし(第一号の新聞?とか特典ビデオも持ってるぜ!)、節目の記念ライブも観てる。だからどうしたという話ではないですが。
エンケン
まずは白い衣装に銀髪のエンケンがエレキギターを弾きまくるちゃんとやれ!えんけん!とピアノのソロ曲(世界で一番君が好き、カレーライス奇想曲)。相変わらずのギターの音圧に圧倒される。ピアノのソロ曲はまあそういう感じね、というところでしたけど(笑)。
曽我部恵一
ややしっとりめの東京とカレーライスを披露。風貌はただのおっさんだな(笑)。インパクトには欠けてましたがいいライブ。
湯川潮音
ミルクティー披露。これまたしっとり。ちょっと雰囲気の違うミルクティーというか大人の雰囲気濃厚だった。
大槻ケンヂ
湯川潮音とデュエットで哀愁の東京タワー、そしてソロで日本印度化計画。弾き語りの系譜としては遠藤ミチロウタイプ。
遠藤ミチロウ
おやすみ、オデッセイ1985SEX。いやもうオデッセイ1985SEX(福島なまりバージョン)を聴けたのがなんというか。素晴らしかった。
大友良英&エンケン
まずはエンケンがソロで1曲(44年目のカレーライス)披露した後に夜汽車のブルース。最初は大友さんのギターがあんま聞こえなくてアレでしたが後半はフィードバックされたギターが存分に。ただまあもう少しグイグイいってもよかったんではなかろうか。
鈴木慶一
ほんとだよ、塀の上で。いやこれスゴかった。リゾネーターギターっぽい音色でフィードバックをまき散らしつつ幽玄とパフォーマンスされる「塀の上で」はちょっと空間自体異次元にいる風情。サイケデリックブルースの極北。
PANTA
悪たれ小僧、時代はサーカスの象にのって。PANTAはなんといってもボーカルの力強さにつきる。一人だけダイナミックレンジが違う感じ。すごい。
フラワーカンパニー
深夜高速、東京ワッショイ。東京ワッショイは途中からエンケンが登場し一緒にパフォーマンス。昔みた時のような狂騒感は抑えめでしたが、ロック的な迫力は十分。バンド演奏としての力強さを発揮してた。
エンケンバンド
まずは男のブルースを披露。これがまあものすごくて、フォーマットは完全なブルースコードながら出てくる音は完全にオルタナティブでハードコアでパンクでサイケデリックでロックなそれ。最近ストーンズがブルースアルバム出して話題になってましたがあんなもんじゃない爆走ぶりがもうスゴすぎる。さらに畳みかけるようにフォロパジャクエンNo.1。これまたガチャガチャとかしましいロックで最高。
さらにアンコールはゲスト陣が集合しての不滅の男。これはちょっとギターの音含めてやや消化不良気味な感もあったけど、いかにも大団円的な風情はよかった。
ラストは山本恭司!がゲストとして登場しての夢よ叫べ。非常に幻想的なパフォーマンスで美しい締めくくり。
全体的にみるとちょっと消化不良というか散漫な印象もあったけど、個々のパフォーマンスは素晴らしくて、いいライブ。つうか、鈴木慶一やPANTA、エンケンといった先人が人生の終盤(失礼)に差し掛かったところで、改めておのれの自我を全開にして唄うことの凄みを感じ日だった。なんかもう音楽家としての立ち方が違う印象。